飼育管理

セキセイインコの一般的な飼育管理

     作成者 吉田 聰


1. 飼育管理の指針

  なるべくシンプルな管理で長く継続できるやり方を実施。

 

2. 禽舎及び室内の飼育場所

 ・南向きで周囲には樹木を多く植え、簡素で機能的。

 ・窓を2か所以上設置して空気の循環を良くし、新鮮な空気を常に送り込む。新鮮な空気は

  鳥の健康・体調維持に重要な要素。

 ・室内は蛍光灯を設置、タイマーを使用して概ね18:30~20:30まで明るくし餌の食いの

  促進を図る。特にペアリングしてヒナのいる時は必要。

 ・温度計・湿度計、掃除機・箒・ちり取り・小型踏み台・給水器洗い用ブラシ、ボール等

  設置。

 

3. ケージ 

 ・ブリーディング用ケージは概ね40㎝角。(現在市販されているものではHOEI35角)

 ・べニア等で自作可能。その際は前面に前網を取り付け間口60×高さ40×奥行45角程度とし、

  間口を長くし横に飛ばすように工夫。

  ※底面に糞切り用の網が付いているものは掃除しやすく衛生面でも良好、ただし、巣立ち

  ヒナがこぼれた餌をついばむことが多いので、ヒナが巣立ち近くになったら考慮に入れる。

 ・フライング用ケージは日本のように四季がはっきりしている場所では鳥の体調維持のため、

  概ね90㎝角。自作するのであればボタンインコ用金網を使うと便利。

 ※這いずり箱は自作木製で上面、前面に前網使用45×15×45でヒナや体調が悪い鳥に使用。

 

4. 巣箱

 ・市販されている縦型、横型どちらでも良いが固いヒノキ等の木材が良好。親が巣箱の入口

  から出入りしたとき、抱卵している卵を傷つけないように降り口の下に巣皿(くぼみ)が

  こないように巣皿をずらす。

 ・巣箱の左右に湿気防止用の穴を3か所ずつ開ける。

 ・市販巣箱を改良して外付けにした方が巣箱の中の有精卵やヒナの確認ができて便利、

  ケージの中の♀親が落ち着く。

 ・産卵日等を記録・確認しヒナの孵化(最終産卵日から概ね18日間)を鳴き声等で確認、

  その後♀親が落ち着く5日程経ってから、できるだけ多くヒナの状態を確認、概ね7日を

  目途にリング装着、その後足に付着した糞等を取り除く。

 ・巣箱の中には市販されているおがくずを敷く。ヒナ孵化後から巣立ちまでは巣箱内が

  汚れたらその都度全部交換。おがくずは必ず天日干しで消毒。

 ※巣箱もベニヤ板(8.5~9mm)を使用して自作可能。

 

5. 止まり木 

 ・ブリーディング用ケージは鳥がしっかり止まれる太さで、1本は巣箱の入口の近くに 

  もう1本は巣箱から離れた位置に設置。できれば角型と丸型一本ずつ。

 ・フライング用ケージは鳥が縦に飛べるように高低差をつけて本数を調整。90㎝角ケージで

  概ね5本設置。

 

6. 餌入れ等と給水器

 ・餌入れ等は市販のケージに付属されているもので良いが、水入れはバナナ型自動給水器を

  使用すると便利。補食用に100均の素焼きやプラスチック製の容器を使用。

 

7. 主食

 ・ほとんどの主食用飼料は輸入品。特にカナリーシードやキビは生産国によって実の大きさや

  光沢に違いがある。日本のカナリーシードはカナダ、アルゼンチン、オーストラリア産が

  多く、実の大きさは英国で市販されているものの半分の大きさ。

 ・市販されているカナリーシード、キビ、ヒエ、アワの混合であるセキセイインコ用飼料が

  良く、できれば食べやすく、消化しやすい別売のカナリーシードを少々追加。

 ※餌には細かなゴミが付着しているので1回フルイにかけると良い。また、餌は毎日、餌殻、

  糞等を除去し新しい餌を追加。

 

8. 補食

 ・粟の穂(赤・黄)は主にブリーディング、這いずり箱の鳥を中心に体調維持、食欲増進

  のため。

 ・塩土、イカの甲、牡蠣殻ボレー(蠣殻、海砂、プラスリン等の混合)。

 ・青菜はできるだけ野草の方が薬用としての効果が高い。ハコベ、たんぽぽの葉、クロー

  バー、おおばこ、スギナ、ニンジンの葉等。市販のものは小松菜、チンゲン菜、ほうれん

  草、豆苗等。

 ・その他、粟玉、人参のスライス、とうもろこし(夏期)、柳や桜の芽吹いたときの枝

  (春期)。

 ※ネクトンS・E・MSA等総合ビタミン剤として体力増強に良い。粟玉に混ぜたり食パンに

  ふりかけたりして投与。

 

9. 飲水

 ・新鮮なもの。水道水に含まれる塩素を取り除くため、一日置いたものや沸騰させて

  さましたものを使用。

 ※英国では市販のミネラルウォーターを与えているブリーダーもいる。

 

10. ペアリング

 ・自分の持鳥の中で、その年に使用する♂♀共に血統や外見が最高の鳥同士の組み合わせを

  順次ペアリング。

 ・ペアリングをする際は、まず♂♀のコンディションの良いものを選択、血統、外見(良い

  箇所を固定・遺伝させるため、同一タイプの鳥を選ぶ)、カラー等も考慮。まず、♂♀を

  ブリーディングケージに入れ、ペアの相性が良いことを確認し巣箱を取り付け。ペアリ

  ングして相性が悪ければ、主に♀を変更。

 ・巣引きは年2~3回。ヒナは5羽程度とし、それよりもヒナが多い場合は仮母を使用してヒナ

  の数の均一化を図り、巣引き後はフライングさせて十分な体力回復を図る。

 ・♂は生後6か月以上、♀は8か月以上で体がしっかりした鳥を巣引きに使用。

 ・ヒナは巣立ち後自分で餌を食べるようになってから1週間程度して、這いずり箱に移し

  1回目のトヤが終了してから、フライングケージに移す。巣立ち後いきなりフライング

  ケージに移すと体調を崩すことが多い。

 

11. 衛生

 〇掃除等

 ・禽舎や室内等の床面は毎日箒等でゴミを取り除く。掃除機は週1回程度使用、掃除機の

  音で驚く鳥がいる。

 ・ブリーディングケージの底面は1回の巣引きごと、フライングケージは週1回程度掃除。

 

 〇薬等

 ・ブリーディングケージはブリーディングを始める前に細かなゴミを除去、ケージ全体に

  塩素系(キッチンハイター)の100倍希釈液をスプレー。また、金網のサビ防止や木部の

  汚れにはペンキを塗り直す。

 ・その他のケージは月1回程度木酢液50倍希釈液を、同時に羽虫予防に鳥にもスプレー。

 ・鳥には羽虫予防にペアリング前に♂♀にノックレンを、健康促進としてなるべく多く水で

  スプレー。

 ・真菌予防として、春・秋2回1リットルの水に対し3ccのリンゴ酢を混ぜた飲み水を3週間

  与える。